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【ビリギャル】地頭が良いとは何なのか。

「地頭が良い」とは何なのか

 

 

「ビリギャル」の小林さやかさんが 2022年秋にアメリカの大学院に進学予定

2013年 書籍「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」
2015年 映画「ビリギャル」
主人公の小林さやかさんが、2022年秋より米国・コロンビア大学 教育大学院に進学予定とのことです。

学習・教育という面で夢を与えてる存在になっている小林さん。このインタビュー記事の中で、「地頭」という言葉が出てきました。

 

www.huffingtonpost.jp

ビリギャルの話になると、私はもともと頭が良かったから合格できたという反応がすごく多いんです。それがまさに日本の課題だとすごく思っていて、日本人の自己肯定感の低さの現れだと感じています。「もともと頭がいい」「地頭がいい」とよく言うけど、そもそもそれって一体何だろうとよく考えます

ビリギャル・小林さやかさん「日本人の自己肯定感の低さ」に課題意識。コロンビア教育大学院に進学する理由とは | ハフポスト NEWS

この記事の中での意見としては、結果論で人の意見が変わること、教育環境の重要性、が述べられています。「地頭」の問題ではなく、環境を変えて、伸ばしていくことの重要性。それによって人は変われる、とのことです。

 

「地頭」とは何なのか: 職場での経験

「地頭は良い」という言葉がありますが、それは、天才的な計算能力や語学能力を示してはいません。一体、「地頭」とは何なのでしょうか。このような場合、逆に「地頭が悪い」を考えてみるとわかります。最近、それを実感するような方に出会いました。

一人の女性

デスクワーク中。50歳前後の中年女性が、外線電話での問い合わせを受けた際の出来事です。電話の内容は分かりませんが、固定電話のライトが点滅しており、固定電話で同時に複数の電話の着信を受けている様子です。その際に、女性が電話相手に言った発言が私の頭に残りました。

女性: 「『1番』に電話が着ているから ちょっと待ってもらって良いですか?」

周囲で状況を見ている私は「ライトが光っている。女性の視点から、1番というのは待機している電話の番号だな」と理解できます。ただ、電話先の相手には、全く伝わらない内容でした。「『1番』とは何なのか」「『電話している中、誰からの電話』を受けているのか」、電話相手には伝わらない混乱にしかならない情報です。電話中も電話終了後も、この女性は特に何も気にしている様子はなく、うまく伝えられなかったという慌てた様子もありませんでした。
この出来事があり、私は「地頭」というものを実感したのです。

 

「地頭」を考える:  ①「境界知能」の存在

それでは、「地頭」は何なのでしょうか。これを考える際に、やはり重要な点は、「境界知能」の存在です。

www3.nhk.or.jp

知能指数 (=IQ)。図形処理や処理スピードなど人間の能力の一面のみの判定のため、賛否分かれる指数ではありますが、指標として広く活用されています。この知能指数でみた時に、平均とされるのが 85-115。70 未満を知的障害といいますが、その間の 知能指数 70-85 を「境界知能」と呼び、全体の 14% 1,700万人程度の人口がいるとされています。これらの人々は周囲の認識や社会的支援をすり抜けて、「要領が悪い」「頭が悪い」などと扱われている可能性があります。

これらの人々は、授業/講義や職場での講習を受けても平均的なスピードにはついていけず、「地頭が悪い」とされる可能性があります。これらの人には、時間をかけた指導や、その人に合わせた学習ツールを活用する必要があります。

 

「地頭」を考える:   ②「ミラーニューロン」の存在

また、相手の言う意味を共感する能力が、学習においては律速段階になりえます。相手がいうことを理解・共感する能力。これは、ミラーする能力でもあり、「ミラーニューロン」として取り上げられることがあります。

www.dhbr.net

prtimes.jp

「ミラーニューロン (mirror neuron) 」
自ら行動する時と、他の個体が行動するのを見ている状態の、両方で活動電位を発生させる神経細胞。"neuron" は神経細胞を表します。
一般の文脈の中では、他人を模倣する・共感する能力、相手を自分に移し替える神経系・及びその能力と扱われます

運動能力やコミュニケーションで取り上げられることが多いですが、学習においても重要となります。教師・講師や周囲の人々の考えや行動に共感しミラーする。これが学習において重要です。また、社会人でも、上司・部下・顧客などをミラーして考える。これが重要な場面が多いです。

逆に、「ミラーニューロン」の働きが平均値未満だと、「空気を読めない」「間が悪い」「何も考えていない」などの扱いをされる可能性があります。

 

小林さやかさんは、きっと「地頭」が良かった

これらを考えると、小林さやかさんは、「平均的+α の知能」を備え「良好なミラーニューロンの機能」を備えていたのだろう、と思います。それはすなわち「地頭」が良いとのことになると思います。
これらの人に対しては、環境を整えれば、「ビリギャル」小林さんのように成長していく可能性があります。

 

逆に、これらの「知能」「ミラーニューロン」の機能が低い人にとっては学習は非常に難しいものとなりえます。これらの人々には、個々人に合わせて変化させる教育が必要でしょう。