カタツムリは本当に「草食」なのか? カタツムリが「肉」を喰う疑惑。
- 春から初夏にかけて
- 肉食疑惑のカタツムリ
- カタツムリは基本的に草食性
- 「肉食系」のカタツムリは存在する
- 日本に輸入されたカタツムリ/マイマイを食べるカタツムリ/マイマイ
- 今回のカタツムリは外来種ではなさそう
- カルシウムを摂取するために「殻」を食べていた説
春から初夏にかけて
暖かくなり出てくるカタツムリ。葉や茎・野菜をポリポリかじるイメージで、「草食」とされています。
果たしてそうなのでしょうか。
肉食疑惑のカタツムリ
本日の朝、こんな光景を見ました。
ダンゴムシが歩き回るコンクリートの周辺。少し違和感を感じました。何かと何かがくっついているのです。
ん? カタツムリ?
すごく小さいです。5 mm-1 cm 程度のサイズ感で、何かがくっついています。 カタツムリだけでは無さそう。
よーく見てみると...
食べてる!!?
小さいカタツムリがダンゴムシを食べてる!!?
すごく異様な光景でした。
カマキリなど肉食系の昆虫が他の昆虫を食べるのは見慣れていますが、カタツムリがダンゴムシを食べることはあるんでしょうか?
カタツムリは基本的に草食性
様々な資料・サイトを見ても、基本的に、「カタツムリは草食性」と書いてあります。「新鮮なキュウリ・葉物野菜などを与えましょう」と書いてありますし、肉類など動物性たんぱく質を好むような記載はありません。
肉食系のカタツムリは存在するのでしょうか。
「肉食系」のカタツムリは存在する
全く知識の無い領域。日本語サイトでは情報も限られています。
「肉食の = "carnivorous"」「カタツムリ/マイマイ = "snail"」 で検索してみました。すると、英語のサイトで検索ヒットしました。
"Powelliphanta" 和名 ヌリツヤマイマイ。ニュージーランドのみに生息する大型のマイマイ。ミミズなどを食べる、肉食系のカタツムリ。ニュージーランドのみに生息する固有種とされており、さすがに、これではなさそうです。
日本に輸入されたカタツムリ/マイマイを食べるカタツムリ/マイマイ
事の始まりはアフリカマイマイ "Achatina fulica"。成貝の殻径が 7-8 cm, 殻高が 20 cm 近くに達する世界最大級のカタツムリで食用として日本へ輸入されました。雑食性で広汎な食性を有し、農作物を好み、農業害虫とされています。ただ、このアフリカマイマイを駆除するために、さらにもう一種のマイマイが輸入されました。
それが、肉食の ヤマヒタチオビ "Euglandina rosea"。原産地はアメリカ合衆国のフロリダ州。成貝の殻径は 60 mm 程。「カタツムリを食べるカタツムリ」として、アフリカマイマイを駆除するために輸入されました。
ただ、このヤマヒタチオビ。人間の狙い通りにはならず、日本の地域固有種のマイマイを捕食し、アフリカマイマイ以上に問題となるようになったのです。
今回のカタツムリは外来種ではなさそう
今回私が撮影したのは、いずれのカタツムリ/マイマイとも殻の模様・体の色が異なりそうです。外見の特徴から、ミスジマイマイなどのニッポンのカタツムリ/マイマイと考えて良さそうです。
これらの日本にいるカタツムリ/マイマイは、基本的に草食性。では、冒頭の写真は、何をしていたのでしょうか?
カルシウムを摂取するために「殻」を食べていた説
長期に観察できたわけではなく前後の状況の比較ができないので断定はできませんが、冒頭のカタツムリ、「ダンゴムシの殻」を食べていた可能性はあります。
カタツムリもダンゴムシも、殻・外骨格を形成するために、カルシウムを摂取する必要があります。そして草食とされるカタツムリも、カルシウムを摂取するために、石・コンクリートなどの環境の無機物からの摂取に加え、「卵の殻・同種カタツムリの殻からの摂取を行う」などの記載を見かけます。
それであれば、冒頭のカタツムリ、ダンゴムシの殻を食べていたのでは、と理解することが可能です。
これからの梅雨シーズン。カタツムリを見かけたら、一歩立ち止まって観察してみてはいかがでしょうか。
※今回の考察は一枚の写真からの推測・考察の域を超えません。科学的な検証や知見があれば、その参照をお願いいたします。