失敗した。完全に集中力をきらしていたようだ...。
一人の世界
週末の夜、漫画を読むのが好きだ。
漫画は人生にいろどりを与えてくれる。時間に制限のある映画と違い、作者の世界観を際限なく展開してくれる。
時に、人生を支える名言を教えてくれる。
ジョジョ、進撃の巨人、幽遊白書、闇金ウシジマくん、ザファブル、イノサン、刃牙、地獄楽...。
ジョジョは特に、自分の人生観や世界観、美術観にも大きく影響を与えている。
週末のエンターテインメント。
私のルール。それは「完結済みの漫画を一気に読むこと」。
大人にしかできない、贅沢なルール。
ただ、週末に自分だけの時間で、夜更かししながら、一気に見る。
20-30巻程度の作品なら、6-8時間程度はかかる。
映画よりも贅沢な時間だ。
最近であれば「親愛なる僕へ殺意をこめて (原作: 井龍一, 作画: 伊藤翔太)」は、良かった。これまでに無い、どんでん返しの連続で、感情を揺さぶり続ける感じが良かった。ページをめくった後「おいおいまじか...!!」ってシーンが連続し、強烈に覚えている。
ドラマ化されたんだなぁ。
大失敗...!!
そんな中、失敗してしまった。
「ワールドトリガー」 作品の高評価レビュー。そして、wikipedia の文面を読み違えてしまった。
~『ワールドトリガー』 (WORLD TRIGGER) は、葦原大介による日本の少年漫画。『週刊少年ジャンプ』(集英社)で2013年11号から2018年52号まで掲載された後、同社の月刊誌『ジャンプスクエア』に移籍し、2019年1月号より連載中[3]。 ~
完全に集中力を切らしていたようだ。
「2013年11号から2018年52号まで掲載」。この部分まで読んで、てっきり2018年で完結したと思い込んでしまった。Amazon Kindle で見ると、「全25巻」となっており、ちょうどいい分量と感じてしまった。
残念な作品
ワールドトリガー。「現段階の25巻までの段階での感想」 となるが、私としては残念な作品という印象である。
始まりは良かった。
28万人が住む「三門市」に、ある日突然異世界への「門(ゲート)」が開く。門からは「近界民(ネイバー)」と呼ばれる怪物が現れる。界境防衛機関「ボーダー」による防衛が始まる。
異世界感が良かった。そして、ストーリーテラー的な主人公キャラクター、三雲修、空閑遊真のキャラ設定も悪くない。
「ボーダー入隊」「アフトクラトル侵攻」まではストーリーも良かった。隊員が捕獲・拉致されるなんて...。ドキドキハラハラする感じも良かった。
ただ、その後が良くない。ボーダー内のB級ランク戦が長い。味方内での階級戦だが、ひたすら長い。間延びしてしまっている。感覚的には、ドラゴンボールのアニメ版で、ずっと格闘しているのを見せられている感じだ。結果は分かっているし驚きも無い。
戦術・戦略戦というのもあるかもしれないが、それにしては見せ方が物足りない。ゴルゴ13やこち亀的なマニアックさが足りない。軍隊レベルの知識がなくファンタジーで乗り切っており、素人のサバイバルゲームを見せられているようだ。軍隊の装備品や訓練を調査した方が良いのでないだろうか。ランキング戦で、どれだけ傷ついても何も失わない訓練、というところも、結局必死さが伝わらない。負けてもただ悔しいだけ。アマチュアスポーツのレベルだ。
キャラクター達の努力の根拠に共感できないし、真剣さにリアリティがなく、まるで、サバイバルゲームの部活の試合みたいだ。実際、受験・引っ越しを理由にボーダーをやめる、なんてものもある。おいおい、なんて緩い防衛隊だよ。
この辺りは、それぞれのキャラクターの闇や組織の設定の深さが足りないのかもしれない。
リアリティの欠如
少年漫画だからしょうがないのだが、主要メンバーがほとんど未成年である。それがまたリアリティが欠如している。エヴァンゲリオンでの「14歳ではないといけない理由」みたいな背景もない。未成年ばかりの防衛隊なんて、全くリアリティがない。
延々と続く、過去の名作の既視感
リアリティの無いランキング戦が延々と続いた後、ようやく「遠征選抜試験」に入る。やっと話が進んだと思ったら、なんと「閉鎖環境試験」。宇宙飛行士選抜試験のパクリなのだ。これは...。もう宇宙兄弟を中心に数多くの宇宙飛行士関連の作品で描かれつくしているぞ。ここまでくると、既視感しかない。これじゃあまるで、過去の名作達の展開じゃあないか。
「進撃の巨人 (諫山創)、「宇宙兄弟 (小山宙哉)」、「幽遊白書 (冨樫義博)」「レベルE (冨樫義博)」 などの名作達を模して、置きに行った作品のようだ。画風・ストーリー展開は、「鋼の錬金術師 (荒川弘)」 のようだ。
画風・キャラクター設定・ストーリー展開は、子供向けファンタジー感が強い。「鋼の錬金術師 (荒川弘)」 は子供向けファンタジーながらもストーリー展開は練り上げられておりテンポは良かったのだが、「ワールドトリガー」は、子供向けファンタジー感に加えて、テンポの悪さと間延び感が強い。まるで編集部内会議で「格闘シーンが好評だから長く描きましょう」みたいな打ち合わせがあったのではないか、と思うくらい、長い。
今後に期待
「ボーダー入隊」、「アフトクラトル侵攻」までは楽しめた。これから先、「遠征」に出るようになったら、スリリングな展開が再開されるのではないか、と期待している。
これまでにあった「違和感」をむしろ「伏線」に変えて、伏線回収することができれば、ストーリーに深みが出るだろう。