スバル・トヨタの EV ってどうなのか? ニュースリリースをもとに営業に率直な意見を聞いてみた。
- 自動車業界の新潮流。「CASE」
- ついに、トヨタ・スバルによる EV 発売の詳細が明らかに
- ラテン語で「太陽」を意味する「SOL(ソル)」と、「大地」を意味する「TERRA(テラ)」
- 2021年11月、仕様が公開された
- EV はまだ もうからない
- 最大の武器、アイサイトが搭載されず
- スバル「SOLTERRA」価格は 594万円から。トヨタはサブスク(定額課金)制。
- スバルの営業の方に本音を聞いてみた。
自動車業界の新潮流。「CASE」
C: Connected(コネクティッド)
A: Autonomous/Automated(自動化)
S: Shared(シェアリング)
E: Electric(電動化)
この流れの中、日本を代表する自動車企業、トヨタと SUBARU (スバル)。この2社は資本提携関係にあります。
2019年09月27日のトヨタのニュースリリース。
トヨタ自動車株式会社(以下「トヨタ」)と株式会社SUBARU(以下「SUBARU」)は、両社の長期的提携関係のさらなる発展・強化を目指し、本日新たな業務資本提携(以下「本業務資本提携」)に合意しましたので、以下のとおりお知らせいたします。
両社は、2005年に業務提携について合意して以来、SUBARUによるトヨタ車両受託生産や、トヨタからSUBARUへの車両供給、ならびにFRスポーツカー「TOYOTA 86」/「SUBARU BRZ」の共同開発などの協業に取り組んでまいりました。また、自動車業界に大きな変化が訪れている今、CASE領域を含む新しい領域における対応が求められており、本年6月にはSUBARUのAWD(全輪駆動)技術とトヨタの電動化技術を活用した、EV専用プラットフォームおよびEV車両開発にも取り組むことで合意したことを公表いたしました。
100年に一度の変革期において、両社は更に絆を強め、力を合わせていくことで、CASE時代においても「走る愉しさ」を追い求め、これまでのトヨタ、SUBARUを超える、もっといいクルマづくりを目指します。
そして、両社のブランドの独自性を尊重しつつ、次のステージに向け、関係をより深いものに発展、結び付きを強化するために、今回トヨタからSUBARUへの出資比率を引き上げるとともに、SUBARUもトヨタの株式を取得することに合意いたしました。トヨタとSUBARU、新たな業務資本提携に合意 | コーポレート | グローバルニュースルーム | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト
トヨタは SUBARU の株式を議決権比率20%に達するまでの株式数を取得。
SUBARU は上記のトヨタによる SUBARU (スバル) 株式の取得に要した金額と同額に相当する株式数を取得しました。
ついに、トヨタ・スバルによる EV 発売の詳細が明らかに
そんな中、2021年5月、トヨタ・スバルの共同開発での 新型 EV (BEV*). スバル 「SOLTERRA (ソルテラ)」の名称が決定。*BEV: Battery Electric Vehicle(電気自動車)
ラテン語で「太陽」を意味する「SOL(ソル)」と、「大地」を意味する「TERRA(テラ)」
「SOLTERRA(ソルテラ)」という名称は、ラテン語で「太陽」を意味する「SOL(ソル)」と、「大地」を意味する「TERRA(テラ)」を組み合わせた造語です。優れた操縦安定性や高い走破性を誇るAWD性能を備え、行く先を選ばない「安心と愉しさ」を提供するSUBARUらしいSUVという特長を持つこのクルマで、お客様と共に自然をもっと愉しみ、自然との共生をより一層深めていきたい。そのような想いから、この名を付けました。
SUBARU 2022年に発売する新型EVの名称を「SOLTERRA(ソルテラ)」に決定 | ニュースリリース | 株式会社SUBARU(スバル)
スバル 「SOLTERRA」、トヨタ 「bZ4X」基本のスペックは同じで、スバル「SOLTERRA」も、トヨタの日本国内の工場で生産されます。
2021年11月、仕様が公開された
SUBARUは本日2021年11月11日に、新型BEV*1「SOLTERRA(ソルテラ)」を世界初公開しました。
SUBARUが初めてグローバルに展開するBEV、「SOLTERRA」を発表 | ニュースリリース | 株式会社SUBARU(スバル)
ただ、これらの記事の中で、気になる記載もありました。
EV はまだ もうからない
スバルは30年までに、世界の新車販売の4割以上をEVとハイブリッド車(HV)にすることを目指す。ソルテラは、同社の電動化戦略を実現させるための最初の商品となる。中村社長は「EV はまだ もうからない。(電動化の選択肢を)EV に決め打ちはしない」と指摘。「EV 市場の形成期にはトヨタと協業を深めて対応するのが基本だ」と述べた。
経営陣の認識として、EV に大きく舵を取るのは難しいと考えているような発言です。
最大の武器、アイサイトが搭載されず
スバル 「SOLTERRA」、トヨタ 「bZ4X」。これには、スバルのストロングポイントのアイサイトは搭載されていません。この理由も書かれています。
スバルの代名詞である先進運転支援システム(ADAS)「アイサイト」は搭載していない。同社が開発したステレオカメラではなく、トヨタのADAS「トヨタセーフティセンス(TSS)」で使う単眼カメラを採用した。
ソルテラの開発責任者を務めた小野大輔氏(スバル商品企画本部プロジェクトゼネラルマネージャー)は「アイサイトを搭載することも視野に検討したが、我々が(アイサイトと)EVとの協調をこの時間軸でやり切るには時間が足りなかった。ただ、今後もずっとアイサイトを採用しないわけではなく、付けられるように検討していきたい」と語った。具体的には、車載電子プラットフォームの通信系が従来のスバル車と異なる点が課題になっているという。
理想はアイサイト搭載だが、開発期間の問題で難しかったようです。
スバル「SOLTERRA」価格は 594万円から。トヨタはサブスク(定額課金)制。
2022年4月14日、スバル SOLTERRA、販売価格が公表されました。
SUBARU(スバル)は14日、初めて世界販売する電気自動車(EV)「ソルテラ」の価格を594万円からにすると発表した。5月12日から受注を始める。トヨタ自動車との共同開発車で、トヨタが個人向けではサブスクリプション(定額課金)サービスで提供し、スバルは店頭で販売する。
スバルの営業の方に本音を聞いてみた。
そんな、新型 EV、「SOLTERRA」。
知り合いのスバルの営業の方に本音を聞いてみました。
Q: SOLTERRA、どう思いますか?
A: うーん。価格が高いですね。600万近くすると、中々提案しづらいですね。
充電ステーションの問題もあります。充電する場所がたくさんある地域や、家庭で充電できる方にはいいかもしれませんが、一般の方には導入のハードルが高いですね。Q: アイサイトは何故ついていないんでしょう?
A: アイサイトがついていないのは、営業としては非常につらいです。アイサイトがあるからスバルを選んでいる、という人も多い中、営業のセールストークとしては、中々難しい状況です。開発が追い付かなかったのでしょう。これからに期待です。
Q: ガソリン車から EV に、どの位のスパンで変わるでしょうか。
A: 大きな流れとしては、EV に変わると思います。ただ、価格・充電の問題・地域整備、などを考えると、後 5-10年はかかると思います。営業の立場としては、次の買い替え、あるいは次の次の買い替え位までは、ガソリン車で乗っていただいて、その後に環境整備が済んだ段階で EV をお勧めするような気持ちではいます。
Q: なるほど中々厳しい状況ですね。今買うなら、テスラを買った方がいいですね。
A: ノーコメントでお願いします (苦笑)
ニュースなどでは、「EV 全盛」のような扱いですが、日常生活で顧客に提案する車は、ガソリン車になってしまう、とのことでした。
*なお、営業の立場としては半導体不足の影響は深刻でまだ解決されておらず、ロシア・ウクライナ問題の波及もあり、生産体制に不安がある、とのことでした。
今回は、スバル・トヨタの EV、スバル 「SOLTERRA」、トヨタ 「bZ4X」について、まとめてみました。