深夜のガソリンスタンド、立ち尽くす母娘
仕事終わりのガソリンスタンド
昨夜。22時頃、私は仕事を終え、車で帰路につきました。
ガソリン残量が減り、私は帰宅途中のセルフのガソリンスタンドに寄りました。
仕事と日常生活を切り替える、ささやかな気分転換。ガソリンを入れる単純な作業。ただそれだけでも、単純作業をこなすだけで、気持ちを入れ替えるスイッチ。気分転換になります。
22時半のセルフのガソリンスタンド。普段と変わりない日常。
私が利用するガソリンスタンドは住宅街近くであり、日中は混み合うものの、21時を超えると通行料も減り、静かです。春の夜。ややしっとりとした冷たい空気。胸のざわめきを覚えるような春の空気感です。
給油場所は4つ。白のミニバンが一台、間をあけて、ベージュの軽自動車が一台止まっていました。
私はその2台の間に止め、タッチパネルの操作を始めようとしました。
「すみませーん...」
そこで、声をかけられました。僕の真後ろには、60歳位でしょうか。栗色の髪、眼鏡をかけた女性が立っていました。
「蓋を開けてもらえます?」 とのこと。
私はベージュの車の元に案内されました。そこには、声をかけられた60 歳位の女性とともに、娘様とおぼしき三十歳位の女性が立っていました。
私が給油口を見た時には、娘様が蓋を開けれた様子。
「ありがとうございます...! 開きました。すいませんでした...!」と。
給油作業に戻る
私は自分の給油作業に戻りました。
タッチパネルを操作し、エネキー (エネオス決済) を使って、速やかに給油準備完了。ノズルを給油口に入れ、給油を開始しました。
「すみませーん...」
また、先ほどの女性が僕の後ろに立っています。
「千円札の入れ方が分からなくって、教えてもらえますか...?」
セルフのガソリンスタンドでも、呼び出しボタンがあり、おそらく、従業員の呼び出し・マイク対応が可能と思います。ただ、おそらくこの母娘にはそれも難しそうです。
既に給油を開始して手がふさがっている私は、少し待ってもらうように伝え、給油を完了させました。
状況を確認すると
「大丈夫ですか?」 ベージュの軽自動車に向かい、状況を確認すると、娘様が千円札を入れることには成功したようです。
ただ、「千円札を入れたがどうしたらいいか分からない。」と。
私「赤いノズルを給油口に入れて、レバーを引く」その作業をお伝えしました。
母 「すみません... やってもらえますか...?」
私は、ようやくその段階で理解しました。この母娘は、人生初のセルフガソリンスタンドなのです。一つ一つの作業ではなく、全てが未知の経験。ノズルのレバーを引くことすらも躊躇われるような状況なのだ、と。
コロナ回復、ロシア・ウクライナ問題などもあり、174円/L のガソリン高の状況。千円分だと、5L 超程度のガソリンしか入らず、僕がレバーを引いていた時間は、1分もかからないあっという間の時間でした。
給油完了
何もなく、給油は完了。そこで母より一言。
「蓋...、閉めてくれますか...?」
「自分で開けたんじゃないんかい...!?」
と、心の中で一瞬突っ込み、大人の笑顔を返し、給油口の蓋を閉めました。
解散
夜、22時半過ぎ。そこでその母娘と解散しました。
平日の夜。
慣れない二人。
千円分だけでもガソリンを入れたい状況。
どのような状況だったのでしょうか
今となってはもう、わかりません。
真実を知れば、納得できる部分もあるでしょう。
事実は小説より奇なり。
世の中は不思議、新鮮な出来事で溢れています。