世界観を作り出すことが偉大である。
「ドラえもん のび太の新恐竜」
「ドラえもん のび太の新恐竜」公式コミックスを読みました。のび太がタイムふろしきを使って化石を恐竜の卵に戻し、恐竜との交流・成長を行っていくストーリー。
「恐竜は鳥に進化し現代も生きている」近年のこの考え方を用いたストーリーで、刺激的でした。
パンチ不足
ただ、旧作からのファンである私には、いささかパンチ不足に感じました。
私は、旧作、てんとう虫コミックスの「ドラえもん のび太の恐竜」を子供の頃から何回も読んでいました。この旧作、1980年映画公開、1983年にコミックス発売なんですね。ちょうど同時期に生まれ、育った私は、大長編ドラえもんと共に育ったといっても過言はありません。実家には全巻揃っています。
傑作。語り継がれる旧作「のび太の恐竜」
旧作「ドラえもん のび太の恐竜」は傑作でした。
冒頭の、のび太とスネ夫ジャイアンとのやり取り。タイムふるしきでの恐竜との出会い・別れ。そこからタイムマシンでの白亜紀へのタイムスリップ。そこから出てくる数あるトラブル。恐竜ハンターとの交戦や交渉も見ものです。大長編映画にふさわしい、スリリングな展開が続きます。
旧作と比較したときの新作のパンチ不足
それと比較し、今作は、パンチ不足が否めませんでした。
・旧作をオマージュした、タイムふろしきでの恐竜の卵の復活。
・恐竜の過去への移送。
これらに目新しさはありませんでした。
・恐竜から鳥への進化の場面に、のび太達が関与していた。この部分のみに、本作の面白さがありました。ただ、悪役と思われたジル博士がタイムパトロールで、明確な悪役はなく、スリリングさに欠けるものがありました。
世界観を作り出すことが偉大である。
荒木飛呂彦先生も「世界観が最も大事」と言っていました。
旧作「ドラえもん のび太の恐竜」は、新たな世界観を作り出した傑作でした。また、大長編ドラえもんの中でも、魅力的なのは、初期10冊位までで、そこまでの作品は、今読み返しても、素晴らしいと思います。
以後の作品は、過去の作品の世界観に引っ張られており、新規性だけでなくパワーが弱まり、段々と魅力が薄れていってしまっています。
まるで、「次の作品はどのような作品が良いか、会議室で話し合って妥協点を見出したような作品」が続きます。
世界観を作り出すことが偉大です。
新しい世界観を作り出すシリーズ物の「一作目」それが持つパワーはすさまじい。
そう感じます。