世界に溢れる悪意。その元凶は。そっと寄り添ってくれる優しい本。
自分が感じる生きづらさ。他人が感じる生きづらさ。
多くの人が不満を抱えているように感じるこの世界。
一方、輝いている人がいるようだが、そうはなりたくない。
そんな屈折した世界。
うまく生きられない人達のことを分析した良書。
「大人になりきれない人」の心理 加藤諦三
加藤諦三 氏
1938年生まれ。現役の社会学者・評論家です。多数の執筆あり、半世紀以上、ニッポン放送系ラジオ番組「テレフォン人生相談」でパーソナリティをなされているようです。
他者への依存・不満などの原因を、明快な文章で解説してくれます。
僕自身、20歳台、30歳台で生きづらさを感じることが多かったのですが、自分を見つめなおす言葉をもらえ、優しく勇気づけられるような、文章でした。
他者との関わりにおいても、終盤でこのような文章があります。
要するに、物の見方には大きく分けて二つある。不満な人の物の見方と、満足した人の物の見方である。不満な人に満足した人と同じ物の見方をしろと言っても無理なのである。満足すれば、自然と満足した人の物の見方になる。
~中略~
何度も「今に生きる」と書くのだ。自分が納得するまで「今に生きる」と書くのだ。自分の恵まれない過去に囚われ続けて、今を犠牲にしてはいけない。
文中には、冒頭の絵画のような「祈り」についても記載があります。
生きづらい世の中で、厳しくも、優しく寄り添ってくれるような、優しい本でした。